6月8日(金)〜17日(日)に、ヨーガンレール札幌店で行われた「赤木明登の漆器展」。実用性と美しさを兼ね備えた赤木さんの作品は話題を呼び、魅了されているファンも年々増えています。
展示会に合わせて来札していた赤木さんに、漆器の世界に入ったきっかけから、ご自身のライフスタイルについてお話を伺うことができました。
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赤木明登さん
Akito Akagi
雑誌の編集者を経て、弟子入りと同時に石川県輪島へ移住。輪島塗の修行後、漆師に。和紙を使った独自の漆器作りが有名。 |
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「毎日使える塗り物」っていうのが、
僕の基本なんです。
-漆器の世界に入るきっかけを教えてください。
元々雑誌編集者だったんです。文章を書こうと思って出版社に入ったんですが、だんだん文章じゃなくて手で作る仕事をしたくなって。素材は何でもよかったんですよね。元々、お茶やお花は好きだったんですが、自分がどうして漆を選んだのかは今でもわからないくらい。漆を見た事も、どうやって使って漆器を作るのかも、弟子になってから知ったくらいです。
編集者の仕事を捨てて、別の仕事につこうと思った時も全く心配などありませんでした。奥さんにも一切反対されなかったしね。
-赤木さんの漆器は、下地を塗った後に和紙を張り、またその上に漆を塗る手法と伺いましたが、普通の漆器と比べて何が違うのでしょうか?
和紙を貼ったシリーズは一番最初に使った方法で、今は違うシリーズも作っているんですが、通常の漆っていうのは、つるつるピカピカなイメージでしょう? さらに、使いづらく、手あとやキズがつきやすくて、面倒くさい。確かにそれは漆の一面ではあるんだけど、そういうのは、お正月とか婚礼とか晴れの場所に使われてきた場所だったんだよね。
そうじゃなくって、毎日使うためには毎日使えるテクスチャーや素材が必要。それに答えてるのが和紙を使う理由なんです。和紙を使うと独特な柔らかさや優しい表情が出てきて、さらに、傷がつかなかったり、手垢がつかなかったりするからとても使いやすくなるんです。
-私も持ってみました。
とても軽くて、木の質感が残っている。ぬくもりを感じました。
漆ってすごく不思議な素材で、乾くと凄く硬くなるんですが、触れた時に柔らかさを感じさせる面白い素材なんです。僕らって触った時の感覚って凄く大事。食器を持ち上げて食器に口をつけて食べるのって日本だけでしょう。だから、唇って触覚が一番発達したところで、そこに触れるには漆器の独特な柔らかさは大切なんじゃないかな、って思います。「毎日使える塗り物」っていうのは僕の基本なんです。
- それでも、とっつきにくいと感じてしまう若い人には
どうやって使ってほしいですか?
若い人に日常生活で、毎日食べてる物を盛って使えるように使って欲しい。もちろん日本食を盛ってもいいけど、日本人の食卓ってもう純粋な和じゃない。だから、イタリアンとかカレーとかをよそっても全く問題ないんです。
あと、あんまり経済力がない若い人にも買ってもらうように値段を抑えています。用途を限定せず一器多様で、そばやうどんを食べてもいいし、ラーメン食べてもいいし、いろんなものをよそう器として使ってほしいです。
作り手の顔が見える"物"を集めたいですね。
自分が一番シンクロする"物"と出会う事が
幸せな事だと思う
- ご自宅に畑があると聞きました。
輪島はまだまだ伝統的な縦制度が残っていて、弟子になった最初の4年間はほとんど収入がない。最初は食べる為に畑を作ったんですが、やっぱり無農薬で自分で作った野菜って凄い美味しくて、その後もずっと続いてますね。野菜ならなんでも作ってますよ。今なら夏野菜。レタス、キャベツなどの葉っぱもの。もう少し暑くなったら僕の大好きなルッコラや、ズッキーニ、キュウリ、トマト、ピーマン、ナス、オクラ。
- 器を作るっていうことは食にもこだわりがあるんでしょうか?
ありますね。食べるのは大好きなんです。基本的に野菜は自分の畑で無農薬で作ったものですね。育てたら、その季節にしか食べられないじゃないですか。それがいいんです。朝、畑で生で食べられる葉っぱを取ってきて、洗ってちぎって山盛りにしてオリーブオイルをかけて食べるんです。
-奥様・智子さんの美味しい料理を教えてください。
なんでも美味しい。センスがいいって言えばいいかな。例えば、自分が旅行に行ったときに食べた美味しい料理を口で説明したら、レシピが無くても作ってくれてそれが美味しい。あとは、夏になるとトムヤムクン。海老の代わりにサザエを使って、レモングラスの代わりにゆずを使ったオリジナル。あと、僕も料理をよくします。生ものがすきなんで、お刺身とかブリのしゃぶしゃぶとか。
-赤木さんにとって、「家族」はどんな意味がありますか?
家族でいる時期なんて、ほんの一瞬ですよね。例えば自分の人生が80年と考えたら、高校まで家いると考えても18年。人生の4分の1しか一緒にいられないから、一生懸命一緒にいて楽しむ事を考えています。でも、基本的に僕は自分の事しか考えてないからね。めちゃめちゃ遊んで仕事してます。そして、家は毎日のようにお客さんが来て泊まっていくから毎晩宴会になる。子供たち呆れながら見て育ってると思うんだけど、人生を楽しむっていうことは良くわかっているんじゃないかな。
-最後に、赤木さんが求めるライフスタイルを教えてください。
これからっていうよりも、もう全てそうしているんですが、着る服や筆記用具、家具、住宅などいいものを探していると、個人の作り手にいきつくと思うんです。紅茶やワインもドコの地方のアノ農園のあの人が作ったっていう風に一人の作り手にたどり着く。自分が一番シンクロするものと出会う事が幸せな事だと思うんです。誰が作ってるかわからないものより、できるだけ作り手の顔が見えるものを集めたいですね。そういうものを自分の持ち物にしたいなって思います。
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大切な時に使う食器もいいけれど、毎日使えるならより嬉しい。そんな漆塗りの食器がある事にとても感動しました。自分の畑で採れた美味しい野菜を、作った漆器で食べる。いつもお客さんが居て毎晩宴会。「一人になる事はないね」と笑って話す赤木さん。漆器はもちろん、その自然体のライフスタイルが魅力的でした。
(文・写真 坂本祥子)
6月8日(金)〜17日(日)に、ヨーガンレール札幌店で行われた
「赤木明登の漆器展」についてのニュースはこちらです。 |
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